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※剣帝捏造注意






第一印象はぎらついた瞳をした獣だった。怖いものなど何もないと、自由に大地を駆け回り、力で凌駕する銀色の獣。後にスクアーロという名前を知り、大地ではなく海であったかと一人で納得した。大海原を泳ぎ思うままに蹂躙する鮫はしかし、泳げなければ死んでしまうのだろう。彼は飼殺されると知りながら組織という水槽に身を置くだろうか。刃を交えながら思う。彼にその覚悟はあるだろうかと。
(きっとわたしはまけるだろう。)
恐怖はない。ただこれで終わるのだと、砕けた銀色の欠片を目に焼き付けながら若き剣士の未来に想いを馳せた。



(久しぶりに金と銀。テュールさん捏造。)

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M.Mと白蘭。
捏造色が濃いので苦手な方は回避してください。









「ねぇキミ、僕と一緒にこない?」

白髪の青年、白蘭と名乗った男が満面の笑みを貼りつけた表情で言う。「僕と一緒においでよ、キミもこんな世界嫌いなんでしょう?」なにもかもわかっていると言わんばかりの白蘭の言葉を私はただ呆然と立ち竦んで聞いていた。「僕はいろいろな世界のキミに会ったり見かけたりしたんだよ」「そしていつも気になってたんだ」「どの世界の君も幸せそうにはみえなかったよ?」何を言っているのか理解できない。ただ彼の持っている小さな匣、見覚えのある装飾の匣兵器に視線は釘付けにされていた。あれは骸ちゃんの持っていたはずのものだ。どうしてここに。どうして彼が。ああ私はその理由に気づいている。骸ちゃんを倒して手に入れたのだろう。弱き者は淘汰される。白蘭の強さを考えれば、すぐにわかることだった。

「どうして、私に声をかけたの?」
「ん?興味があったからだよ」
「そう」
「じゃあ一緒に行こうか」

アメジストの瞳が太陽の光を弾いてきらきら光る。獲物を捕まえたと確信したようなそれに吐き気がした。結局誰の下についても同じ。下につく限り、誰かの掌の上で踊らされるようになっているようなもの。そんなのはもうごめんだ。覚悟を後押しするようにびゅうと風が吹いた。せっかくセットしてきたというのにぐしゃぐしゃに絡んだ髪を手櫛をかけて抑えつつ、どのみち崩れてしまうのだからもう構わないのだと気付いた。

「私は上辺だけの褒め言葉も意味深な言葉も聞き飽きたし、駒として利用されるのも嫌なの」

だからあなたの手など取りません。生きるために貴方と刃を交えなければここから去れないというのならば全力でお相手しましょう。それで死んだらそこまでの人生だったということでしょ。そこらの小娘じゃあるまいし今更怖いなんて弱音を吐くつもりもありません。トランクケースを握る手に力を込めれば彼の口が賤しく歪んだ。


茨道を突き進め



イーピン視点でランボとイーピン。
+10以上+20未満。






寝苦しくて目が覚めた。眼鏡をかけて枕もとに置いた時計を見ると午前三時を指していた。起きるには早い。タイマーの切れた扇風機を眺めて溜息をつく。少しは風が吹いているといいのだけれど、と立ち上がりベランダの窓を開けた。流石にこの時間は人の声もなく静かで、そろりと音をたてないように注意しながらベランダに出る。黒いアスファルトを街灯が仄かに照らしている。そこに照らされた見覚えのある人影に思わず声が漏れた。

「ランボ?」

思わず上げてしまった声が大きくて、慌てて口元を手で覆う。声に気づいたらしいランボはこちらを見上げると「こんな時間に大声をあげると近所迷惑だよ」と微笑んだ。誰のせい!と責めたくなる気持ちをぐっと我慢する。返事の代わりに手招きをして部屋に来るように促すと「真夜中にレディの部屋に上がり込む趣味はありません」ともっともらしいことを言われた。けれどこちらもそんなことで引き下がるつもりはない。そもそも十数年前には常識なんて言葉を知らなかった幼馴染が何をいうの。「いいから玄関に回って。ここで話している方が近所迷惑になっちゃう」有無を言わせぬ口調で言い、部屋に戻る。暫く待っていると控えめなノックの音が聞こえた。

「遅い」
「ごめん。でもやっぱり帰るよ」

扉を開けるとランボは心底すまなさそうな表情を浮かべ、そうして躊躇いなく踵を返した。慌てて襟首を掴む。生温い空気に交じって血の匂いがした。眉を顰めて「怪我をしているの?」と問うと「いや、仕事の帰りなだけ」と困ったような声が返ってきた。それで全て合点がいった。どうして夜中に外にいたのか。私に会いに来たのか。そして合わずに帰ろうとしたのか。本当に馬鹿。

「明日・・・今日はこれから仕事?」
「うん。今日も仕事」
「そう」

「その恰好で?」と少しだけ嫌味を含ませて問いかけると「いくらなんでも着替えるよ」と苦笑いが帰ってきた。知っている。どうせ半分泣きそうな顔をして笑っているのだ。知っているからあえて表情を確認しない。その代り腕をとって部屋に引きずり込む。

「イーピン?」
「シャツ貸してあげる。その恰好で見つかったら職質されちゃうよ」

返り血に塗れたシャツを引っ張って部屋に上げる。箪笥の上に置いておいた紙袋を空け、ワイシャツを取り出して渡すと受け取ったランボは複雑そうな顔をした。早く着替えるように促し、飲み物を取りにキッチンへ足を運ぶ。冷たい麦茶を二人分用意して戻ると、ランボは着替えを終えていた。

「よかった。サイズ合ってた」
「有難う、助かった。あと・・・すまない」
「?」
「誰かへの贈り物だったんじゃない?」

これ、と真新しいシャツを指してランボが言う。どうしてそんなところだけ勘がいいのだろう彼は。確かにそれは贈り物の予定だった。暫く会えていない師匠へのプレゼント。最近は手紙を出しても返事がないから心配で、確かめるために用意していたもの。用意したはいいがいざ出す勇気がなくてずっと家で燻っていたもの。だから出せなくなって私は今ほっとしていたりするのよランボ。

「いいの。役に立って良かった。これで安心して家に帰れるね、ランボ。物騒な世の中なんだから気をつけなくちゃ」

口早に言うと「本当に有難うイーピン」とランボは立ち上がり「俺が言えることじゃないかもしれないけど、無理しちゃダメだよ」と頭を撫で、その足で玄関に向かい靴を履くと出て行ってしまった。残された二人分の麦茶を見つめながら、彼はどこまで解っているのだろうと思う。本当にありがとうを言うべきはこっちなのだ。のろのろと立ち上がって玄関の鍵を閉める。がちゃりと金属音が重く響いた。


できるならここで泣きたいのに


(ランボとイーピン→師匠。+10まではいかないくらいで捏造。ランボはイーピンに対してはもう少し砕けた話し方になったらいいなとか思ってる。)(title:cccccc)

※捏造設定注意。
 大人スカルがトマゾのボスと一緒にいます。
 







 昨夜の記憶は曖昧だが、周りに転がっている酒の空き瓶と部屋の様子、そして室内に充満している酒臭さから容易に想像がついた。思考を巡らせようとするが鈍い痛みがそれの邪魔をする。するけれども考えなければならない。何故我らが信愛なるボスは俺と片手を繋ぎ、俺の上に覆いかぶさって眠っているのか。顔を横に向けると幸せそうな寝顔があって思わず和むが、重力は俺にだけ特別に遠慮してくれるわけでもなく、正直重い上に痺れている気がする。一体何時間こうしていたんだろうか。

「ドントマゾ」

遠慮がちになりつつも、はっきりと声に出して呼びかけてみる。返事はないけれど呼吸のリズムから起きていることは分かっているのだが、このボスはあくまで寝たふりを続けるつもりらしい。

「起きなくてもいいから退いてください」
「ん」
「重いです。潰れます。いろいろ中身が出ちゃいます。限界です」
「さっきまで気持ちよさそうに寝てたのに」
「いつから見てたんですか」
「スカルちゃんが起きる少し前」
「・・・・・・・・」
「あ、その目は酷い。傷つくよ」

呆れて言葉を失いつつ、じと、と責めるような視線で退くように促すと「じゃあこうならいいかな」と俺の顔の横に手をついて、ロンシャンが身を起こす。繋いだ手は離さないまま、至近距離に顔が近付けられた。赤茶色の前髪は重力に従って落ちてきて、色素の薄い瞳に壁を作る。

「おはよ」
「おはようございま・・・じゃなくて、手を離してください」
「えー」

繋がれたままの自分の左手とロンシャンの右手は二人分の熱が混ざっている。しっかりと握られた痺れも加わり始めていて、思わず顔を顰めた。振り解こうと足掻いてみるものの、無駄に終わりそうだ。ロンシャンが片頬だけ引き上げて少しだけ意地悪そうな笑みを作る。彼の体温は俺よりも大分高くて(他の人に言わせれば俺が低すぎるらしい)このままでいたら溶けてしまうんじゃないかと馬鹿な想像をしてしまうくらいに心地よくて怖くなった。

「だってさ、折角くっついたんだよ。離れるのって勿体なくない?」

同じことを考えていたことが嬉しくて恥ずかしい。俺の心を見透かしたようなロンシャンから降ってくる笑い声から逃げるように首を背けると、襖の隙間から光が一筋差し込んでいるのが目に入った。恐らく一般人は活動を開始している時間帯だろう。今日の予定を頭の中で整理する。今日が締切の書類はすでに提出済みだから無いはずだ。仕事は打ち合わせが二件と会議がひとつ。今から準備をして・・・

「・・・スカルちゃん?」
「なんか馬鹿らしくなりました。もういいです。今日は自主的に休みにします」
「あはは、いいじゃん。一緒にごろごろしてよう」
「なんだか貴方に逢ってから俺はどんどん駄目人間になっていく気がします」

溜息をついて油断をした瞬間に「てやぁ」と掛声を上げながら抱きついてきたロンシャンの重さをもろに受け、ぐぇっと間抜けな声を上げた。ちょっとだけ轢かれた蛙の気持ちが分かったかもしれない。

「いいじゃない、人生楽しんだ者が勝ちだよ!」

まだ慣れない布団という寝床も畳のイ草の匂いも天井の怪しげな木目も欄間の不思議な模様も襖の独特な質感も障子越しの淡い光もこの人が好きならばいつかは自分も好きになれる気がした。

嗚呼なんて君は卑怯!


(タイトルはmythomanie様からお借りしました。)(捏造全開。うちのスカルさんはカルカッサが潰れた後にトマゾに迎えられてます。何が酷いって勝手にカルカッサを潰すなという話です。反省はしています。後で捏造設定は纏めたいなぁ。)

以前書いたオレンジ話をアフェランドラ隊の三人でリベンジ。






「苦い」
「何が」
「オレンジ」
「…普通オレンジは甘いんじゃないのか」
「苦い」

それは一体どういうことかと目を通していた書類から顔を上げると可愛い弟分こと野猿がオレンジを皮ごと齧りついていた。ボスのペンダントと同じ鮮やかな色の球体は一部だけ白く歪に欠けている。欠けた部分は野猿の空いた手の中にあるらしい。顎でごみ箱の場所を示してやると素直に齧った部分をごみ箱に投げ捨てた。

「野猿、オレンジは皮だけ食うものじゃないぞ」
「皮ごと食べると美味しいってニゲラが言ってた」
「皮ごとだろ。齧るなら中身も一緒にしろ。皮だけじゃ不味いってことだ」
「…ん、もういい」

野猿はテーブルの上に置いてあるアイスティーに手を伸ばす。が、それを黙って見過ごすわけにはいかない(なぜならばそれはボスが俺のために入れてくれたアイスティーだからだ)。舌打ちと警告をしようとすると黙々と仕事をしていた太猿が「それは飲むな。冷蔵庫に冷えたのがある。序に俺の分も持ってきてくれ」と口を挟んだ。ナイスフォローだが少しばかり虚しい。
置き去りにされたオレンジを見ながら「ナイフを持ってくるように言えば良かったな」と呟くと太猿がおもむろにオレンジを手に取りそのまま齧りついた。抉れたオレンジから皮よりも濃い橙色が瑞々しく輝いている。ゆっくりと味わってから咀嚼したらしい太猿が「必要ない」と笑う。つられて笑うと、戻ってきた野猿が「兄貴?太猿兄貴も何笑ってんのさ」の不思議そうに尋ねてきた。返事の代わりに太猿からオレンジを受け取って野猿に差し出す。受け取った野猿は嬉しそうにソファに座るとオレンジに齧りついた。


(うまいか?)(ん!)(そりゃあよかった)

ある日の他愛もない話


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