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以前書いたオレンジ話をアフェランドラ隊の三人でリベンジ。






「苦い」
「何が」
「オレンジ」
「…普通オレンジは甘いんじゃないのか」
「苦い」

それは一体どういうことかと目を通していた書類から顔を上げると可愛い弟分こと野猿がオレンジを皮ごと齧りついていた。ボスのペンダントと同じ鮮やかな色の球体は一部だけ白く歪に欠けている。欠けた部分は野猿の空いた手の中にあるらしい。顎でごみ箱の場所を示してやると素直に齧った部分をごみ箱に投げ捨てた。

「野猿、オレンジは皮だけ食うものじゃないぞ」
「皮ごと食べると美味しいってニゲラが言ってた」
「皮ごとだろ。齧るなら中身も一緒にしろ。皮だけじゃ不味いってことだ」
「…ん、もういい」

野猿はテーブルの上に置いてあるアイスティーに手を伸ばす。が、それを黙って見過ごすわけにはいかない(なぜならばそれはボスが俺のために入れてくれたアイスティーだからだ)。舌打ちと警告をしようとすると黙々と仕事をしていた太猿が「それは飲むな。冷蔵庫に冷えたのがある。序に俺の分も持ってきてくれ」と口を挟んだ。ナイスフォローだが少しばかり虚しい。
置き去りにされたオレンジを見ながら「ナイフを持ってくるように言えば良かったな」と呟くと太猿がおもむろにオレンジを手に取りそのまま齧りついた。抉れたオレンジから皮よりも濃い橙色が瑞々しく輝いている。ゆっくりと味わってから咀嚼したらしい太猿が「必要ない」と笑う。つられて笑うと、戻ってきた野猿が「兄貴?太猿兄貴も何笑ってんのさ」の不思議そうに尋ねてきた。返事の代わりに太猿からオレンジを受け取って野猿に差し出す。受け取った野猿は嬉しそうにソファに座るとオレンジに齧りついた。


(うまいか?)(ん!)(そりゃあよかった)

ある日の他愛もない話


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