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「何を勘違いしているのかわからないから言っておくけど」
「ん?」
「私はアンタの周りにいる女の子達みたいに弱くないからひとりでも歩けるの。アンタなんていらないのよ」
「弱いからじゃなくて、可愛い子ちゃんを守りたいっつーのは男の本能って奴でしょうよ」
「そんな身勝手な男の欲望を満たしてやるために守られるなんて尚更御免だわ!」

強気に出るのは弱い部分に踏み込まれたくないから。吼えるのは痛い所を突かれる前に威嚇するため。そういう態度を取った時点で自分の弱さを認めたのも同じなのだがこの少女はそれに気づかない。姉弟揃って強がりの高飛車だ。リボーンの言葉を借りるならそこが可愛いということなのかもしれないがそれでは焚きつけて本音を引き出した意味がない。若草色の鋭い眼光を受け止めて沈黙を破る。

「たまには、」

甘えることも覚えなさい

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「なんだか会う度に傷が増えている気がするんですけど」
「気のせいだろう」
「せっかく綺麗なのに勿体無い」

顔を合わせるや否や浴びせられた言葉は軍人に対する侮辱ではなかろうか。そんなラルの思考には気づかずに溜息を吐くスカルの頬にも大きなガーゼが貼られていて、勿体ないはこっちの台詞だと言ってやりたくなったが、言っても仕方のないことは口に出さないことにした。ラルには羨ましくも思える白い肌も細身の骨格も男であるスカルとしては不満もあるのだろうか。昨日の戦闘訓練で出来た腕の傷を痛々しそうに触れるスカルを眺めつつ、ラルはよく他人の怪我にまで気を回すものだと少々呆れた。最も新薬の実験台にしようとしてきたりするヴェルデや、壷に入った出所の知れないどろどろとした薬を勧めてくる風に比べればラルにとってスカルは害のない存在ではあるのだが、本人の気にしていないことを痛ましいと嘆かれることも楽しいことではない。

「綺麗な肌が見たいのならルーチェに会いにでもいったらどうだ」
「その誤解を招く言い方はやめてくれませんか」
「何がだ」
「・・・分かってないのならいいです」
「そうか?」
「それに俺は、ラルの手も綺麗だと思いますよ」
「は?」

それは嫌味なのかと問いただそうとするラルを宥めつつ「そのままの意味です」と苦笑を浮かべてスカルが言う。「大切なものを守るために戦う人の傷を綺麗といって何が悪いんです?」それが当たり前だと言うようなスカルの顔を直視できずにラルは掴まれた手元に視線を落とした。掴まれた手が死ぬ気の炎を帯びたように熱かった。

あいくるしい



(ラルとスカル。途中で何を書きたいのかわからなくなった。なんとなくこの二人は同姓に近い友人な気がする。)(title:mythomanie)


敵の数を確認して舌打ちする。予想の倍を超えた数を相手にするのは骨が折れる、で済まないかもしれない。そろそろ年貢の納め時かと覚悟を決めた時、久しく聞いていなかった声を耳が拾った。

「泣き虫は卒業したらしいな」
「ああ。だって泣いたって仕方ない。そうだろう?」

答えつつ視界の端に収めた懐かしい赤子の姿に、昔に帰ったような錯覚をおこした。自然と口元が緩むのがわかる。敵に囲まれ危機に陥れられた現状でもこの最強の赤ん坊がこの場に現れた以上、俺が負けることはありえない。帯電した体でリボーンに向き直る。変わらない不敵な笑みを浮かべた彼は赤ん坊が持つには不似合いな愛銃を構え「よそ見してんじゃねぇ」と容赦なく横っ面を叩こうと飛び上がる。幼い頃の学習というのは身に染み着いているもので俺は身を捻ることでなんとか回避した。背後に響いた鈍い音に「ご愁傷様」と呟いたものの敵に容赦をしてやる気は初めからない。

「泣こうが喚こうが、現実は変わらないんだ」

その言葉を宣戦布告と受け取ったのか敵は一斉に銃口を俺達に向ける。銃撃を避けつつ、手を床につくとリボーンが「昔話は全部片づけてからだ」と飛び上がった。最強のヒットマンには手数の少ない俺の戦法などお見通しらしい。集まり始めた雷雲にどよめく敵の口が開く前に緑色の雷撃を放つ。激しい落雷音の間に聞こえた懐かしい銃声に乾ききっていたはずの涙腺が緩んだことを他人事のように感じながら「どうせならもっと早く帰って来いよ」と皮肉を舌の上で転がした。


弾けた赤い実踏み潰す


(転生リボーンとランボ+20くらい。リング戦のマーモンの科白から推察するとアルコバレーノは記憶継承して巡るのかなと)(title:mythomanie)


俺は戦わなければ生きていけない人種だった。人を殺して、命の駆け引きをして、血溜まりの世界でようやく自分が生きていると確認できる哀れな種族。ならば、今俺の横で割と整っているはずの顔をぐしゃぐしゃにして泣いているこいつは?

「何ていう顔していやがる」
「・・・っ、リボ、ーン」
「折角逃げ延びるチャンスだってのに、こんなところで座り込んでいる場合じゃねぇだろうが」
「でも」
「ボンゴレは終いだ。俺もこの様じゃもう長くねぇ。お前も負けるだろう。だが」

呼吸を妨げる血を吐き捨てる。世界が赤い。白いはずのシャツにべっとりと張り付いた赤い血液が鬱陶しくて目を閉じたのに瞳の奥がちかちかと煩い。そういえばいつだったか誰かにお前には青い血が流れているのではないかと揶揄されたことがあった。あれはいつのことだっただろう。血が足りないと思考まで鈍るらしい。まぁいい。後で、それこそ生まれ変わってから考えればいい。そいつに俺の血も赤かったと伝えて遣れないのが残念だが。
そんなことを考えていたら水滴が降って来たような気がして、重くなった瞼を持ち上げる。予想通り、アホ牛もといランボが大きな瞳からぼろぼろと涙を流しながら俺を覗きこんでいた。額に頬に、温い滴が降り注ぐ。

「何、してる。さっさといけ」
「どうせ負けるなら、お前の傍にいるよ」
「この阿呆」
「リボーン?」
「負けたって死ぬな。お前は生き残れ。無様に生き延びろ」

(こんな馬鹿げた戦いなんかで死ぬな)伝えたい言葉は途中で血反吐に遮られた。金切り声のような悲鳴は多分あいつのものだけれどもう聞き取れない。雑音と同じ。心臓の音が痛いくらいに響く。体中を痛みが支配する。視線を動かすことさえ苦痛。それでも俺は動かさなければならない。まったく呪いも役にたたない。もう少しヤワな作りにしてくれれば楽に死ねただろうに。もしくはもう少し丈夫な作りだったら(こいつを悲しませずに済んだだろうか)そもそもこいつは幼い頃から俺の命を狙っていたはずの癖に俺が死にそうになって泣くなんて矛盾しているだろう。それでもここは喜ぶべきところだろう。(本当に馬鹿な牛)使い物にならなくなった身体で、残った力すべてを込めて叫んだ。「行け!」(行って、生き延びて)それが届いたかどうかは知らない。

さいごのねがい




「つまり強い奴と戦えるってことだね」

無駄に長い跳ね馬の話を結論づけるとそうなったので口に出して確認してみると「恭弥、今まで何を聞いていたんだ」と疲れたようなディーノの返答が返ってきた。ムカついたのでトンファーを振り上げると「まぁ、そういう理由でも今はいい!」と焦ったように言葉が加えられる。なんだか煮え切らない答えだったけれどこの人を相手にしたって無駄だとわかっているからそれ以上は追及しないことにした。ふとこの時代に来た直後に戦った剣士の姿が脳裏に浮かんだ。剣士のくせに妙な幻術を使う男。あのレベルの敵と戦えるなら、不本意な状況も少しなら耐えられるかもしれない。トンファーを握った手に力を込めると「そういえば恭弥は幻騎士と戦って酷くやられたそうじゃねぇか」と不名誉な言葉が聞こえて、今度は迷わず踏み込んでトンファーを振るった。ディーノがそれを軽くいなすことが腹立たしい。背後でくつくつと笑いを堪える黒服の男を睨みつけると「お前から見て、幻騎士はどう映った?」と流暢な日本語で問いかけられた。何を知りたいのかはわからないけれど率直な感想を口にする。

「それなりに強かったよ」
「そうか(お前それに手酷くやられたってきいたけどな)」
「何その顔」
「いや、なんでもねぇよ」
「だけど多分、次に戦ったら勝てるよ」
「どうして」
「だってあの人、戦っていても全然楽しそうじゃなかった。戦いは血が湧くものでしょう」

きくところによるとあの男は白蘭のために沢田綱吉を屠ろうとしたらしい。強さの極みに近づける素質をもっている癖に、自分からその権利を捨てるなんて信じられないことをするものだと思う。「勿体無いね」呟くと意図を理解したのかは不明だけれど「そうだな」とディーノがわらった。逆光でその表情は見えないが、彼は確かにわらっているのだけはわかる。十年経ってこの人は戦うことの歓びを知ってしまったらしい。それが少しだけ残念で、それ以上に期待に駆られた。

「君は何のために僕に会いにきたの。まさかこんなつまらない話をするためだけじゃあないだろうね」

答えの代わりに帰ってきたのは先程よりも深い笑み。


傷口に砂糖



(雲雀と跳ね馬。GW頃に書いていた短文が出てきたので晒してみる。)
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