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イーピン視点でランボとイーピン。
+10以上+20未満。






寝苦しくて目が覚めた。眼鏡をかけて枕もとに置いた時計を見ると午前三時を指していた。起きるには早い。タイマーの切れた扇風機を眺めて溜息をつく。少しは風が吹いているといいのだけれど、と立ち上がりベランダの窓を開けた。流石にこの時間は人の声もなく静かで、そろりと音をたてないように注意しながらベランダに出る。黒いアスファルトを街灯が仄かに照らしている。そこに照らされた見覚えのある人影に思わず声が漏れた。

「ランボ?」

思わず上げてしまった声が大きくて、慌てて口元を手で覆う。声に気づいたらしいランボはこちらを見上げると「こんな時間に大声をあげると近所迷惑だよ」と微笑んだ。誰のせい!と責めたくなる気持ちをぐっと我慢する。返事の代わりに手招きをして部屋に来るように促すと「真夜中にレディの部屋に上がり込む趣味はありません」ともっともらしいことを言われた。けれどこちらもそんなことで引き下がるつもりはない。そもそも十数年前には常識なんて言葉を知らなかった幼馴染が何をいうの。「いいから玄関に回って。ここで話している方が近所迷惑になっちゃう」有無を言わせぬ口調で言い、部屋に戻る。暫く待っていると控えめなノックの音が聞こえた。

「遅い」
「ごめん。でもやっぱり帰るよ」

扉を開けるとランボは心底すまなさそうな表情を浮かべ、そうして躊躇いなく踵を返した。慌てて襟首を掴む。生温い空気に交じって血の匂いがした。眉を顰めて「怪我をしているの?」と問うと「いや、仕事の帰りなだけ」と困ったような声が返ってきた。それで全て合点がいった。どうして夜中に外にいたのか。私に会いに来たのか。そして合わずに帰ろうとしたのか。本当に馬鹿。

「明日・・・今日はこれから仕事?」
「うん。今日も仕事」
「そう」

「その恰好で?」と少しだけ嫌味を含ませて問いかけると「いくらなんでも着替えるよ」と苦笑いが帰ってきた。知っている。どうせ半分泣きそうな顔をして笑っているのだ。知っているからあえて表情を確認しない。その代り腕をとって部屋に引きずり込む。

「イーピン?」
「シャツ貸してあげる。その恰好で見つかったら職質されちゃうよ」

返り血に塗れたシャツを引っ張って部屋に上げる。箪笥の上に置いておいた紙袋を空け、ワイシャツを取り出して渡すと受け取ったランボは複雑そうな顔をした。早く着替えるように促し、飲み物を取りにキッチンへ足を運ぶ。冷たい麦茶を二人分用意して戻ると、ランボは着替えを終えていた。

「よかった。サイズ合ってた」
「有難う、助かった。あと・・・すまない」
「?」
「誰かへの贈り物だったんじゃない?」

これ、と真新しいシャツを指してランボが言う。どうしてそんなところだけ勘がいいのだろう彼は。確かにそれは贈り物の予定だった。暫く会えていない師匠へのプレゼント。最近は手紙を出しても返事がないから心配で、確かめるために用意していたもの。用意したはいいがいざ出す勇気がなくてずっと家で燻っていたもの。だから出せなくなって私は今ほっとしていたりするのよランボ。

「いいの。役に立って良かった。これで安心して家に帰れるね、ランボ。物騒な世の中なんだから気をつけなくちゃ」

口早に言うと「本当に有難うイーピン」とランボは立ち上がり「俺が言えることじゃないかもしれないけど、無理しちゃダメだよ」と頭を撫で、その足で玄関に向かい靴を履くと出て行ってしまった。残された二人分の麦茶を見つめながら、彼はどこまで解っているのだろうと思う。本当にありがとうを言うべきはこっちなのだ。のろのろと立ち上がって玄関の鍵を閉める。がちゃりと金属音が重く響いた。


できるならここで泣きたいのに


(ランボとイーピン→師匠。+10まではいかないくらいで捏造。ランボはイーピンに対してはもう少し砕けた話し方になったらいいなとか思ってる。)(title:cccccc)

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