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スクアーロとM・M。
誕生日なのに仕事に駆り出された鮫と、同じ仕事に行ったフリーの殺し屋設定のM・M。





「ふうん。あんた今日誕生日なの?」
「それがどうしたぁ」
「なのにこんな辺境に仕事?お疲れ様」
「嫌味かぁ?」
「それ以外になにがあるっていうの」

女は笑みを浮かべながら転がる死体の山をよけて歩く。俺はどうしてこの女に自分のことを話すことになったのか思い出せないでいる。「こんな死体の山しかなくなっちゃった廃墟で誕生日を迎えるなんてね」血溜まりを通ってきたせいか、道には二人分の足跡がくっきりと残りそうだ。証拠を残した、と怒られるだろうか。こんな足跡で割り出せるとは思えないが報復されると面倒だ。仕事が増える、と立ち止まると女が「放っておきなさいよ。わかりはしないわ」と他人事のように言った。

「ねぇ、あんたなんて名前だったかしら」
「・・・・・・」
「依頼人から報酬額の話は聞いたんだけど、あなたについては聞いていなかったのよね」
「う゛お゛ぉい」
「ボンゴレの暗殺部隊としか聞いていないんだけど」
「まあそれだけわかってりゃあ任務に支障はねぇよなぁ」
「ええ」
「S・スクアーロだぁ」
「ふうん。スクアーロ、ね」

女は噛むようにゆっくりと名前を反芻すると黙り込んだ。ヒールとブーツの音が交互に響く。殺しの仕事だと知っていながらドレスアップしてきた女を見た時は閉口したがその実力は文句なしだった。強さだけで言えばヴァリアーにスカウトしたいくらいだが、如何せん性格に難がある。ただでさえ変人の多い仲間の姿を思い描きながら、そういえば常識人と呼べる面々が悉く仕事でアジトを離れていることに気づいて頭痛がした。俺が帰るまであいつらは問題を起こさずにいるだろうか。いざ帰ってみたら寝床がなかったなんて笑えない。

「ねえってば」

考えにふけっていた俺を現実に引き戻したのは女の声。口調の強さから推察するに大分彼女のことを無視してしまっていたらしい。慌てて「悪い、何だ?」と訊ねると女は「あんた、さっき今日が誕生日だって言っていたでしょう」とこちらを見上げている。

「ああ、それがどうしたぁ」
「どう頑張っても今日中にイタリアに帰ることは無理じゃない?」
「明日は別件の仕事が入っているから夜は移動だ」
「ふうん。ねえ、移動まで時間ある?」
「日暮れ過ぎまでな」
「それなら夕食付き合って頂戴。ホテルの側に美味しいって有名な店があるのよ」
「はぁ?」
「せっかくお気に入りの服を着て来たんだもの」
「俺は返り血塗れなんだがなぁ」
「私は無事だし、あなた着替えあるんでしょう」

「ほら血飛沫も上手に避けたの」と女はその場で回ってみせる。ワインレッドのスカートがひらりと揺れた。女は自己申告の通り、返り血ひとつ浴びていないようだった。靴にだけ赤黒い染みが出来ている。比べて俺のスーツは血を吸って重くなっていた。そもそも戦い方が違うのだから仕方のないことだ。どんな断り方をしても無駄だと動物染みた勘が告げている。「しょうがねえな」と頭に浮かんだ言い分を遠くに追いやって「着替えてからでいいかぁ」と女に訊ねる。「当たり前でしょう」艶やかな笑みを浮かべ女は言う。

「荷物を預けているホテルに戻ったら、着替えついでに血も流してきなさいな。血腥い男にエスコートされる趣味はないのよ」

何事も自分の思い通りに進めさせる、と主導権を握った顔でいる女がここにいない意地っ張りな男と重なって思わず苦笑を洩らすと、彼女は不可解そうな顔をした。

「なによ」
「いや、なんでもねぇぜ」
「なんでもないって顔じゃないわよ」
「それよりお前、なんて名前だっけ」
「話を逸らさないで・・・って。はあ!」

ちょっと、と掴みかかってくる女に「汚れるぞ」と警告する。「あんた、私の名前も知らずに一緒に仕事していたわけ!」と叫ぶ女に「お互いさまだろうが!」と言い返す。ガツガツと先ほどよりも早いテンポの靴音が響き、女の声も次第に高くなっていく。

「悪かったなぁ。ただもう忘れることはねぇとおもうぜ」
「私もあんたのことは忘れられそうにないわ」

「今夜はあんたの驕りだからね」と奇麗に飾られた指が俺を指す。「わかった」頷くと女は毒気を抜かれたようで「そのかわりなにかプレゼントしてあげてもいいわ」と考え込むように俺に向けていた手を口元へ添えながら歩き出す。それを追って、歩調を合わせて横に並ぶ。彼女の声と異なる二つの足音が耳に優しく響き、自然と笑みが浮かんだ。

「何よ」
「いや、これなら今日が誕生日でも悪くねぇなぁって」




(一応お祝い文のつもり。おめでとうスクアーロ。そしてなぜかM・Mとのお話になりました。この二人はきっと接点ないよね。どマイナー万歳と開き直ってみる。)
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