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骸とM.M。ネタメモ。






「うそつき」

M.Mはそう言い放つと僕を睨みつけた。大きな瞳の中に映る自分の姿はいつも通り不敵に笑っている。「うそじゃありませんよ。僕はきみのことを可愛いと思っています。ただ、僕が髑髏に対するものと違うだけです。髑髏のことは安っぽい言葉でいうのなら愛していますが、あなたに対する好意はそれとは別物ですから」極力優しく、諭すように言うとM.Mは片手を振り上げた。僕を睨んだままの瞳にはうっすらと涙が滲んでいる。予想通りの反応に口の端が歪む。所詮彼女もただ女の子にすぎない。「あなたが欲しいものは愛で無くてお金なのでしょう?」怒りを煽って衝撃を待ったが、予想に反して拳は振り下ろされなかった。M.Mは僕から視線を外して代わりに床を見つめる。長い睫毛を震わせて、下ろした手を握り締める。「そんなに力を入れては、爪が皮膚を傷つけますよ」親切の振りをして忠告するとM.Mは握った手に力を込めた。

「M.M」
「六道骸、あんたなんか大嫌いよ!」

絞り出すようにM.Mが言った。語気は強く、半ば叫ぶように。そういえばM.Mが僕をフルネームで呼ぶのは初めてかもしれないと見当違いなことが頭を過ぎる。今さら酷いことをしてしまったかもしれないと僕の中に僅かに残っている良心が痛みを訴えた。けれどわからない。どうして彼女は。ああ、そういえば初めて会ったころも、彼女は。遠い昔に思いを馳せる。視線をリノリウムの床に向けると床の上にはたはたと滴が落ちた。

(ああ、僕はきみを)


遅すぎた誤算


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