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M.Mとシャマル。
接点のないはずの二人を捏造。





「這いつくばって赦しを乞えば命だけはとらないでおいてやってもいいぜ」なんてどこのチンピラの台詞なんだかと笑いそうになる。口の端を歪めたことが気に障ったのか目の前に立つ男は次々と罵倒の言葉を繰り出した。「私がアンタに命乞いをすると思うの?」と問いかければ侮蔑の視線を感じ取ってか「その目が気にくわねぇんだよ!女の癖に!」と手を振り上げた。思わず身構えようとすると周りにいた男の部下が一斉に銃を構えたので舌打ちをしつつ、顔を伏せる。ぱあん、と乾いた音。左頬がジンジンと痛む。殴られた勢いで後ろに倒れそうになり2、3歩後退するとトン、と何かに当たり体を支えられた。驚いて振り返ろうとすると、頭上から聞き覚えのある声が降ってきた。

「なにしてるんだ」
「・・・アンタ・・・?」

何故ここにこの男がいるのか。自分の肩に手を添えて支えてくれているのは殺し屋家業の間では有名人であるトライデント・モスキートの使い手で、以前何度か一緒に仕事をしたこともある相手だった。冷たい笑みを浮かべて先ほどまで優位に立っていた(今は棒立ちになって唖然とした表情をしている)男に向けて問いかける。

「女の子に手を挙げるなんて感心しねぇな」
「ドクター・・・シャマル」
「何故お前がここに!」

明らかに狼狽している男を横目にシャマルは私を後ろに押しやる。男の護衛達が次々に呻き声をあげると血反吐を吐いて倒れた。種は知っていても目の当たりにすると恐ろしい技だと思う。シャマルが焦りを隠さない男の胸倉を乱暴に掴みあげるとヒッ、と息を呑むような悲鳴が聞こえた。

「まったくかわいこちゃんの顔を殴るなんてどんな神経しているんだか」
「お前、には関係がないだろうが」
「顔に痕でも残ったらお前、一回殺すじゃ許さないぞ」
「なっ、あいつ、が」
「黙れ」
「ドクター、そいつを離してあげて頂戴」

萎縮していた男が私の言葉を聞いてシャマルに掴まれたままこちらを見、そして凍りついた。それもそのはず、私のことを知っているのなら、私の武器についても調べがついているはずだ。不思議な造りをしたクラリネット。奏でるのは死への誘い。私の意図を察したのか、シャマルが男を私の方へ突き飛ばす。男の怯えた顔、震える体。馬鹿みたい。財力もない、賢くもない男なんて私にとって価値はない。つまり、酌量の余地なし。すぅ、と息を吸い込んで男が逃げる態勢を整える前に極上の笑顔で別れを告げた。そして一吹き。それでおしまい。

「ヒュー、凄いね」
「気持ちが入ってないわよ」
「おじさんの助けなんて要らなかったかな」
「それについては純粋に感謝しておくわ」

現にシャマルがここにこなければ、私は死んでいただろう。忌々しくもあの男は出会い頭に抵抗の術であるトランクを奪っていた。彼が男やその部下たちの動きを抑えていなければトランクを取り返すことはできなかったし、純粋な肉弾戦ではやはり男の方に分がある。素直に「助かったわ、ありがとう」と告げるとシャマルは困ったような顔をしたのだと思う。安堵からか情けないことに涙線が緩み、滲んでしまった視界では正確な状況判断なんてできない。ぐい、とシャツの袖で目元を拭うとシャマルが私の頭をくしゃりと撫でた。

「殴られたところは冷やした方がいい、行くぞ」
「っ、そもそもどうしてアンタがこんなところにいるのよ」
「ん?救急コールが聞こえた気がしたから来てみた」
「…電波?」
「おじさんはかわいこちゃんのピンチに駆けつけるのさ」
「どんなヒーローよ、それ…」

軽口のせいで感謝の気持ちなどどこかにいってしまった。どっと襲い来る疲れに肩を落とす。血溜まりを避けながら歩く。こちらのプライドを傷つけない物言いが少しだけ有難く感じたのは内緒の話。


愛も涙もいるもんか



(タイトルはceleste様からお借りしました。)(気分転換にちょっと長めの短文。本当はもっと長かったのですが前後が気に入らなかったのでぶった切りました。殺し屋同士どこかで接点があるといいのに。ドクターの話し方が分かりません。)
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