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「つまり強い奴と戦えるってことだね」

無駄に長い跳ね馬の話を結論づけるとそうなったので口に出して確認してみると「恭弥、今まで何を聞いていたんだ」と疲れたようなディーノの返答が返ってきた。ムカついたのでトンファーを振り上げると「まぁ、そういう理由でも今はいい!」と焦ったように言葉が加えられる。なんだか煮え切らない答えだったけれどこの人を相手にしたって無駄だとわかっているからそれ以上は追及しないことにした。ふとこの時代に来た直後に戦った剣士の姿が脳裏に浮かんだ。剣士のくせに妙な幻術を使う男。あのレベルの敵と戦えるなら、不本意な状況も少しなら耐えられるかもしれない。トンファーを握った手に力を込めると「そういえば恭弥は幻騎士と戦って酷くやられたそうじゃねぇか」と不名誉な言葉が聞こえて、今度は迷わず踏み込んでトンファーを振るった。ディーノがそれを軽くいなすことが腹立たしい。背後でくつくつと笑いを堪える黒服の男を睨みつけると「お前から見て、幻騎士はどう映った?」と流暢な日本語で問いかけられた。何を知りたいのかはわからないけれど率直な感想を口にする。

「それなりに強かったよ」
「そうか(お前それに手酷くやられたってきいたけどな)」
「何その顔」
「いや、なんでもねぇよ」
「だけど多分、次に戦ったら勝てるよ」
「どうして」
「だってあの人、戦っていても全然楽しそうじゃなかった。戦いは血が湧くものでしょう」

きくところによるとあの男は白蘭のために沢田綱吉を屠ろうとしたらしい。強さの極みに近づける素質をもっている癖に、自分からその権利を捨てるなんて信じられないことをするものだと思う。「勿体無いね」呟くと意図を理解したのかは不明だけれど「そうだな」とディーノがわらった。逆光でその表情は見えないが、彼は確かにわらっているのだけはわかる。十年経ってこの人は戦うことの歓びを知ってしまったらしい。それが少しだけ残念で、それ以上に期待に駆られた。

「君は何のために僕に会いにきたの。まさかこんなつまらない話をするためだけじゃあないだろうね」

答えの代わりに帰ってきたのは先程よりも深い笑み。


傷口に砂糖



(雲雀と跳ね馬。GW頃に書いていた短文が出てきたので晒してみる。)
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