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平行世界。すべてが終わった後の野猿君。
赤い石のついた指輪をはめた手で花束を抱え、丈の長い草をかき分けて進む。「素敵な色ね」とボスが褒めてくれた紫の髪はあの時と同じ長さのまま。けれど背だけは竹のようにぐんぐんのびた。伸びたと行っても流石に兄貴程の高さはないが。あの混乱をもたらした男が牢獄に繋がれてから、兄貴とボスが命をかけて平和を勝ち取った日からずっとこの世界では穏やかな時間が流れている。
花束抱えて、すべてが終わった場所を目指す。もうあの優しい声で名前を呼ばれることもあたたかな掌で頭をなでて貰えることもないけれど、目を閉じればまるで昨日の出来事のように鮮明に思い出すことができる。幸せだった日々も嵐のような戦いの日々も。今はあのころに比べたら寂しいけど、それだけじゃない。それでも、未練がましくあの場所に通うことが止められない。いつか戻ってきてくれるんじゃないかなんて甘い期待が俺をこの世界につなぎとめているのも事実だったりする。まあ兎にも角にもあなたが守った世界で今日も俺は生きています。
(だけど別の世界の俺がいるのなら、彼らを救ってくれる結末を願わずにはいられない。)
しあわせをねがう
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