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いくらなんでも多くつくり過ぎてしまったかもしれない、と気付いたのは煮物の出来上がりを確認した後だった。鍋いっぱいのそれは一人暮らしには多すぎて、何日食べるつもりだったかなと自分で自分に問いかける。できてしまったものは仕様がない。大家さんにお裾分けしようか、それとも奈々ママの所に持っていこうか、そんなことを考えていたらけたたましく電話のベルが鳴っていた。濡れた手を布巾で拭いて慌てて受話器を取ると聴きなれた幼馴染みの声が機械越しに自分の名前を呼んだ。

「ランボ?」
「イーピン、お願いがあるんだけど」
「何かな」

いきなり何だろうと言葉を待つと、彼は歯切れ悪く頼みごとを口にした。

「日本についたんだけど、今晩泊めてくれませんか」
「そういうのってせめて向こうを発つ時に言っておくものだよ!」
「ゴメン」
「まぁいいや、いま何処にいるの」
「・・・並盛町」
「まったくもう!」

呆れながらも「仕方ないなぁ」と許している自分はきっと甘いのだろう。奈々ママの所でご飯を食べられるか聞いてみようなんて考えてしまっているのは作り過ぎた煮物を悪くせずに済むことがわかったせい。それ以外の理由なんてないのだ。「イーピン?」と恐る恐る訪ねてきたランボに「とりあえず家に来て」と声をかけ「あ、気を付けてね」と付け足してから電話を切った。予定外の訪問者のお陰で夕食が楽しくなりそうだと期待している胸は高鳴る。だけどそれがランボのお陰だと考えるのはどうしてか癪だった。

突然の来訪者

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