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+15位のランボと誰か






「話してみて?」

彼は座り込んだ俺に目線を合わせるように長い足を畳んで片膝を床につける。その様子をぼんやりと眺めながら俺は先程かけられた言葉について考えてみた。「話してみて」何を?こんな風に顔をぐしゃぐしゃにしてみっともなく泣いている理由だろうか。そんなもの話せるはずがない。だって自分でも理由がわからないのに。わからないことを言葉で説明等出来るはずないだろう。そもそも俺は馬鹿だからこころで感じたことをそのまま表すなんて高等技術を使えるはずがないんだ。なんなんだろうこの人は。慈愛に満ちてきらきらと輝いている。聖人?違う。きれいだけれどそれだけだ。今のおれに必要なのはこの人ではない。優しい大地の色をした瞳に映った俺は拒絶の表情をしていて、大人げないと思ったけれど、ガンガンと痛む頭はもう考えることを放棄し始めていた。

「大丈夫です。あなたに心配されるようなことはなにひとつありません。俺の問題は俺が解決します。もう俺は子どもではないんですから。みっともないところを見せてしまってごめんなさい」

軽いうわべだけの言葉がすらすらと流れる。彼は表情をこわばらせた後、困ったように微笑って「そう、か」と歯切れ悪く言ってからこの場を去って行った、のだと思う。見送る前に顔を伏せてしまったので本当のことはわからない。あの人は悲しいことも折り合いをつけて進めてしまう大人だから。そうそして俺ももう子どもではない。大人だから出来る無茶が限られていることを知っている。この世界の仕組みも自分が万能ではないことも学んでいたし時間は巻き戻せないことも知った。それでも。
それでもできるなら無知で愚かな子どもに戻りたかった。大人になったらなんでもできるのだと怖いものなどないのだと、傷つけることを躊躇わない残酷で愚かなあのころの自分に。

(ああそうかおれはもどりたいんだ)


かなわぬ願いと知りながら



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